2種類の誤診

留意すべき誤診には2種類ある。

① ある病気であるのに、そうではない、という誤診。
② ある病気でないのに、そうである、という誤診。


両方の誤診を避けるべきだが、状況によって、どちらを重視するかは異なる。


① では、そうであった場合のデメリットが大きい時。
② では、そうでなかった場合のデメリットが大きい時。


性同一性障害の場合。


たとえば、制服嫌悪の不登校児。
微妙なケースで、「性同一性障害でない」と診断し、制服変更が認められず、不登校が続く場合のデメリットは大きい。逆に「性同一性障害」と仮に診断し、制服変更が認められ、登校卒業でき、そののち、違いました、となっても、そんなにデメリットはない。
よって、多少ゆるめでも、緊急避難的に広めに診断を出したほうがよい。


逆にSRSの場合。
微妙なケースで、「性同一性障害である」と診断し、SRS後に、違いました、となるとデメリットは大きい。
よって、厳しめに診断を出したほうがよい。


ただ実際にはこのような診断の状況性は意識されず、
① の緊急避難的診断が、②の最終的診断のように扱われることが多いことに留意していたほうがよい。