生理痛の治療薬使った3人、血栓症で死亡

記事を比較すると。
実際の死亡率は3/18万7千人で6万人に1人。
日本産婦人科学会による、カナダ産婦人科学会データでは10万人あたり1人以下。
よって日本の方がやや多いか。

ヤーズにはエチニルエストラジオール(プロセキソール)が配合されているので、そのリスクだろう。
血栓のリスクの少ない、ほかのエストロゲンを配合するのでは駄目なのだろうか。


個人的臨床データとしては、プロセキ使用歴があり血栓症既往(死亡はしてない)があるものは経験しているが、そのほかのエストロゲン薬では、血栓症既往のものはいない。



http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140117-OYT1T00957.htm
生理痛の治療薬使った3人、血栓症で死亡
厚生労働省は17日、生理痛の治療薬「ヤーズ配合錠」を使った女性3人が、血の塊ができる血栓症で死亡した、と発表した。


 同省は「薬との因果関係は否定できない」として、医療機関に対して、足の急な痛みや突然の息切れ、手足のまひが起きた場合は使用を中止し、救急医療機関を受診するように使用者に伝えるよう通知した。製造販売元のバイエル薬品大阪市)には、添付文書に死亡のリスクを伝える警告を加えるよう指示した。

 発表によると、3人は10歳代〜40歳代で、生理痛などで使い始めたが、肺動脈や足の静脈などの血栓症で2013年2〜12月に死亡した。このうち、20歳代の女性は使用2日後に頭痛が起き、13日後に脳の血栓症で死亡した。

(2014年1月17日19時34分 読売新聞)


薬事日報
http://www.yakuji.co.jp/entry34364.html
2014年1月20日 (月)
厚労省】ヤーズにブルーレター‐血栓症の国内死亡が3例


 厚生労働省医薬食品局安全対策課は、バイエル薬品の月経困難治療薬「ヤーズ配合錠」について、今月7日までに因果関係が否定できない血栓症による3例目の死亡が報告されたとして、
製造販売業者に安全性速報(ブルーレター)を配布すると共に、使用上の注意を改訂して「警告」を設定するよう17日付で指示した。


 同剤は、経口黄体ホルモンのドロスピレノンと卵胞ホルモンのエチニルエストラジオールを配合した薬剤で、排卵を抑制すると共に子宮内膜の増殖やプロスタグランジンの産生量を抑制することにより、子宮収縮運動を抑制し、月経困難症の疼痛などを軽減する。2010年11月16日の販売開始から今月7日までの推定使用患者数は約18万7000人。


http://news.mynavi.jp/news/2014/01/06/293/
マイナビニュース
低用量ピル副作用による死亡例に関し、日本産科婦人科学会が見解を発表
  [2014/01/06]

昨年末、低用量ピルの副作用である静脈血栓症による死亡例があったとする報道に対し、日本産科婦人科学会が見解を発表した。

近年、女性ホルモンの一種である低用量ピルおよびその類似薬剤は、避妊目的だけではなく、月経困難症や子宮内膜症に対する有効な治療薬として使用頻度が日本においても増加している。女性ホルモン剤服用中の女性を対象とした静脈血栓症発症の実態は厚生労働省研究班で調査中とのことだが、同会では事態の緊急性を鑑み、次のような見解を発表した。

低用量ピルは避妊に限らず、月経痛や月経過多の改善、月経前症候群の症状改善などの目的で多くの女性に使用されている一方で、有害事象として頻度は低いが静脈血栓症などが挙げられる。

海外の疫学調査によると、低用量ピルを服用していない女性の静脈血栓症発症のリスクは年間1万人あたり1〜5人であるのに対し、低用量ピル服用女性では3〜9人と報告されているという。また、妊娠中および分娩後12週間の静脈血栓症の発症頻度は、それぞれ年間1万人あたり5〜20人および40〜65人と報告されており、妊娠中や分娩後に比較すると低用量ピルの頻度はかなり低いことがわかっているとのことだ。さらに、「カナダ産婦人科学会によると、静脈血栓症発症により致死的な結果となるのは100人あたり1人で、低用量ピル使用中の死亡率は10万人あたり1人以下と報告されています」。

低用量ピルの1周期(4週間)あるいはそれ以上の休薬期間をおいて再度内服を開始すると、使用開始後数カ月間は静脈血栓症の高い発症リスクを再びもたらすので、中断しないほうがよいといわれているという。また、喫煙、高年齢、肥満は低用量ピルによる静脈血栓症の発症リスクが高いといわれており、注意が必要ともしている。

「欧米では、静脈血栓症の発症は激しい腹痛、激しい胸痛・息苦しさ・押しつぶされるような痛み、激しい頭痛、見えにくい所がある・視野が狭い・舌のもつれ・失神・けいれん・意識障害、ふくらはぎの痛み・むくみ・握ると痛いといった症状と関連することが報告されていますので、低用量ピル内服中に症状を認める場合には医療機関を受診してください」とコメントしている。

「低用量ピル内服中の静脈血栓症の発症頻度は低いものの、一旦発症すると重篤化するケースもあります。服用中に前述の症候がみられた場合は、ただちに服用を中止し、処方元の医療機関を受診してください。早期の診断、治療により重症化を防ぐことができます」と締めくくっている。


http://www.jsog.or.jp/news/html/announce_20131227.html
低用量ピルの副作用について心配しておられる女性へ
平成25年12月27日

公益社団法人 日本産科婦人科学会


 低用量ピルの副作用である静脈血栓症による死亡例が報道されました。この件に関する、本会の見解をご案内します。

 近年、わが国においても、女性ホルモンの一つである低用量ピルおよびその類似薬剤は、避妊の目的だけでなく、月経困難症や子宮内膜症に対する有効な治療薬として、その使用頻度が増加しています。しかし最近、低用量ピルを服用している女性の静脈血栓症による死亡例が報道されました。女性ホルモン剤服用中の女性を対象とした静脈血栓症発症の実態については、現在、厚生労働省研究班で調査中ですが、事態の緊急性に鑑み、日本産科婦人科学会は、以下の見解を発表します。
1.低用量ピルは避妊のみならず月経調整、月経痛や月経過多の改善、月経前症候群の症状改善などの目的で多数の女性に使用されており、その有益性は大きいです。一方、有害事象として頻度は低いですが静脈血栓症などもあります。
2.海外の疫学調査によると、低用量ピルを服用していない女性の静脈血栓症発症のリスクは年間10,000人あたり1−5人であるのに対し、低用量ピル服用女性では3−9人と報告されています。一方、妊娠中および分娩後12週間の静脈血栓症の発症頻度は、それぞれ年間10,000 人あたり5−20 人および40−65人と報告されており、妊娠中や分娩後に比較すると低用量ピルの頻度はかなり低いことがわかっています。
3.カナダ産婦人科学会によると、静脈血栓症発症により、致死的な結果となるのは100人あたり1人で、低用量ピル使用中の死亡率は10万人あたり1人以下と報告されています。
4.低用量ピルの1周期(4週間)あるいはそれ以上の休薬期間をおき、再度内服を開始すると、使用開始後数ヶ月間の静脈血栓症の高い発症リスクを再びもたらすので、中断しないほうがよいといわれています。
5.喫煙、高年齢、肥満は低用量ピルによる静脈血栓症の発症リスクが高いといわれており、注意が必要です。
6.欧米では、静脈血栓症の発症は以下の症状(ACHES)と関連することが報告されていますので、低用量ピル内服中に症状を認める場合には医療機関を受診して下さい。
A:abdominal pain (激しい腹痛)
C:chest pain(激しい胸痛、息苦しい、押しつぶされるような痛み)
H:headache(激しい頭痛)
E:eye / speech problems(見えにくい所がある、視野が狭い、舌のもつれ、失神、けいれん、意識障害
S:severe leg pain(ふくらはぎの痛み・むくみ、握ると痛い、赤くなっている)

 低用量ピルおよびその類似薬剤の有益性は大きく、女性のQOL向上に極めて効果的であります。しかし、一方で静脈血栓症という有害事象もあります。低用量ピル内服中の静脈血栓症の発症頻度は低いものの、一旦発症すると重篤化するケースもありますので、服用中に上記の症候がみられた場合は、ただちに服用を中止し、処方元の医療機関を受診してください。早期の診断、治療により重症化を防ぐことができます。