人生案内 30代息子が同性愛告白

そもそも精神科医が回答するのもどうかと思うが、僭越ながら、私も勝手に回答してみた。


息子さんが心を開いてくれないとご心配されていますが、同性愛だと告白された、ということは、お母さんには心を開いているのではないでしょうか。お母さんを信頼しているからこそ、打ち明けたのだと思います。
ただ、息子さんが「親不孝者だ」と自分を責めているのが気になります。
心優しい息子さんなので、結婚できない自分を責めて、親に申し訳ないと思ってるのかもしれませんね。そのために、親のためにも、結婚しないといけないと思い、無理して結婚相談所にも通ったのかもしれませんね。
息子さんは、好きな男性がいるのかもしれません。お母さんが予想していたのとは、違う形かもしれませんが、息子さんは愛する男性と幸せに生きていこうとするのでしょう。
まずは、息子さんに親不孝ではないことをはっきりと伝え、母として息子の幸せを願っていることを伝えましょう。
その上で、戸惑うことや疑問のことがあれば、息子さんに率直に聞いてみればどうでしょうか。
時間はかかるかもしれませんが、心優しい息子さんのこと、お母さんと心を開いて話をしてくれるでしょう。
そして息子さんの幸せを見守ってもらえたらと思います。
(annojo 精神科医


追記
AGP代表平田先生バージョン
http://ameblo.jp/agp-blog/entry-11058297894.html


以下元記事
http://www.yomiuri.co.jp/jinsei/kazoku/20111024-OYT8T00129.htm
>30代息子が同性愛告白
 60代主婦。独り暮らしの30代半ばの息子に、そろそろ本腰を入れて結婚を考えてもらいたいと思い、話を持ちかけました。すると息子は、しばらくためらった後に「実は同性愛だ」と告げました。

 息子の話では、自分が女性に関心があるのかを確かめたくて、結婚相談所に申し込んだこともあるそうです。でもそこで多くの女性から話をいただき、逆に閉口して付き合うまでには至らなかったとのこと。その後、結婚を真剣に考えた女性と出会ったが、結局は破綻したと言いました。

 息子は真面目な性格で、「親不孝者だ」と述懐しました。でも、こんな話を聞くとは思いもよらず、どう接したらよいかわかりません。いろいろ話してみても、息子はなかなか心を開いてくれていない気がします。息子に平凡でも幸せな家庭を築いてほしいというのが、親としての切実な気持ちです。心の持ちようをご教示ください。(東京・J子)


 このご相談に対して「息子さんの人生は息子さん自身が決めることで、親が介入すべきでない」という回答もありえるでしょうが、親心としてなかなかそうも簡単に割り切れません。

 私にはむしろ、息子さんが心を開いてくれないもどかしさがあなたの悩みの中心にあるように思えます。確かに、息子さんの真意は不透明な面が多い。結婚を真剣に思った女性が居たり、結婚相談所に申し込んだり、などと聞くと、本当に同性愛で結婚する気がゼロなのか、という疑問も湧きます。

 そもそも同性愛というのは100%そうか、100%違うかどちらか、と割り切れるものでもなく、多少その傾向がある人でも結婚して子供の居る人も多いのです。こう考えれば、息子さんの場合にもまだ可能性はあるような気もします。

 ただ、この段階で説得しようとするのも逆効果でしょう。結婚がいかに大事なことか、同性愛がいかに間違っているか、などと浴びせられると、息子さんは親とのずれをさらに感じるでしょう。結婚問題はいったん棚上げにした親子の日常的な対話を築くことこそが、心を開き、真意を聞ける近道かもしれません。

 (野村 総一郎・精神科医

(2011年10月24日 読売新聞)