乳房形成手術:性同一性障害対象、国立大初の手術 岡山大が募集

2010.2.2.毎日
http://mainichi.jp/kansai/news/20100202ddf007040011000c.html
乳房形成手術:性同一性障害対象、国立大初の手術 岡山大が募集
 岡山大は心と体の性が一致しない性同一性障害GID)患者のうち、男性から女性に性転換を希望する患者を対象にした「乳房形成手術」の希望者を募っている。同大によると、GIDに対象を限定した施術は国公立大で初めてといい、同大は「性転換実施後も、外見や精神面なども含めたトータルケアを目指す」としている。

 岡山大は01年1月、埼玉医科大に次いで国内2施設目として性転換手術を実施。98年には、泌尿器科、精神科、産婦人科、形成外科にGID専門外来を設け、医師や臨床心理士が専門領域の枠を超え、個々の症例を合同で協議するなどしてきた。これまで同大を受診した患者は1069人(97年1月〜09年5月)。患者から「性器の転換だけでなく、外見を含めて面倒を見てほしい」など美容外科手術を希望する声が多く、昨年9月の医学部倫理委で承認された。

 手術は、入院・外来患者のうち、乳房形成を希望する50人(先着順)を対象に、14年9月まで、両脇の下を切開して胸にシリコーンパックを挿入して乳房を形成する乳房形成手術や術後の診療を行う。保険適用外のため約80万円かかる。

 同大病院形成外科の難波祐三郎准教授は「患者さんにとって大学病院での手術は安心材料。医者も約5年間かけて経過観察ができるため、手術の安全性のデータを蓄積できる。手術して終わりではなく、最後までケアが必要だ」と説明する。

 また、同大大学院保健学研究科の中塚幹也教授によると、性転換手術の希望者は西日本を中心に「3〜5年待ち」の状況が続いているという。中塚教授は「乳房形成手術の容認で、GIDに関する手術がほぼすべて可能になった」と話している。問い合わせは同大病院(086・223・7151)。【坂根真理】