『常識を越えて―オカマの道、七〇年』

『常識を越えて―オカマの道、七〇年』拝読。
おととしの神保町古本祭りで、ポット出版がお店を出していたとき入手したもの。


東郷健といえば、ものごころついたとき、高田がん氏と共に政見放送で強烈なインパクトを受けたのだが。
正直、詳しいことはあまり知らなかった。
祖父が衆議院議員、父が県議会議員だったとか、妻子もちだったとか驚き。
また、最初の立候補が、1971年であり、ハーヴェイ・ミルクの最初の立候補が1973年であることを考えると、「世界最初のゲイをカミングアウトした立候補者」なのかもしれない。
その主張も、過激な部分も多々あるが、今日的な言葉で言いかえると「あえて『おかま』とカミングアウトすることで、内面化したホモフォビアを克服し、セルフエスティームを向上させる」といった感じになりそうなものだ。
とはいうもののやはり、その主張は過激で、正直、この本が右翼に攻撃されたり、発禁処分されていないのが不思議。


後半は及川健二による解説があるが。
東郷健のゲイの中での立場が描かれていて興味深い。
「愛憎半ばする」というか、「パンドラのはこ」というか、「あんなのといっしょにされたくない」というか。
たとえば、選挙立候補者へのアンケートで知られるアクエリアスhttp://blog.goo.ne.jp/forumaquarius2008)の代表、宮原純平さんは、その活動動機に、東郷健への反感があるという。


まあ、良くも悪くも、東郷健が突出した存在であるのは確かなのだろう。
それにしても、
「せめて自らに恥じなく眠りたいと」
は名言。

常識を越えて―オカマの道、七〇年

常識を越えて―オカマの道、七〇年