法務大臣閣議後記者会見の概要

平成22年1月12日(火)
http://www.moj.go.jp/kaiken/point/sp100112-01.html
性同一性障害の親のもとに生まれた子に関する質疑】
Q:兵庫県性同一性障害で女性から男性に変わった夫と,妻との間で生まれた子供について,嫡出子とは認めないということで,法の下の平等に反するのではないかという声が上がっていますけれども,そのことに関して,法務省としてのお考えと,今後その批判の声にどのように答えていくのか,法整備とか含めてどのように考えているのかお聞かせいただけますでしょうか。

A:私も,少し認識が不足をしていたのかなと思います。というのは,性同一性障害の特例法については,私も国会での立法化作業に参加をさせていただいていました。特例法を作るに当たって,このような例は必ずしも想定を十分にしていなかったということもあったかと思っています。そういう意味では,このような問題提起をいただいたということもあり,運用でできるのか,解釈等で可能なのか,あるいは法的な措置が必要なのかということ等も含めて,これは少し検討をさせていただかなければいけないと思っています。できるだけ早急に議論をし,検討したいと考えているところです。

Q:現状のままの対応ではいけないという御認識をされているということでしょうか。

A:そうですね。私もいささか,このままでは問題ではないかと認識しています。これまで認識が多少足りなかったというか,予測をしていなかったということもありますので,遅きに失するところはあるかもしれませんけれども早急に改善といいましょうか,そういうことに取り組んでいきたいと思っています。

Q:嫡出子として認めるべきだということでしょうか。

A:そこは少し検討しなければいけないと思います。

Q:今の法の中では,今回のようなケースを嫡出子として認めるのはなかなか厳しいということでしょうか。

A:今の民法の下で,性同一性障害ということは別にして,一般的な中では,一定の解釈で認めている部分があると思いますので,そういうものと比較といいますか対応するとすれば,これだけをだめと言っているのは多少差別といいますか,少し無理があるのかなと,認識をしています。そういう意味では法整備が必要なのか,あるいは解釈をもう一度整理をし直すということで対応するのか,その辺はこれからできるだけ早く検討・議論をしなければいけないと思っています。

Q:この検討するということは,自治体,例えば兵庫県宍粟市などに対して,これまでに嫡出でない子として扱いなさいと指導をしたことは,一度撤回するということなのでしょうか。

A:指導したというか,今の解釈の中で適用をしてきたということだと思います。ですから,その性同一性障害の方の特例を受けて,そういう場合にも法の同じような適用ができるのかどうかということを,もう一度整理をきちんとしていきたいということです。これまでのことが間違いだったということかどうかは,なかなかそこまで確たることは申し上げられませんけれども,ただ,やはり同じような扱いをむしろすべきなのではないかということで,でき得れば見直しも含めて検討をしたいということです。

Q:質問の趣旨は,現に出生届が出ているわけですので,その検討は検討でやるということは,出ている出生届に対しては,その検討している間は答えを出さないということなのか,一旦出した答えを引っ込めるのか,そこの部分をお聞かせいただきたいのですが。

A:そこは今すぐにそれを指示できるかどうか,分かりませんけれども,できるだけ早く結論を出したいと思います。

Q:省内ではどのような指示を出されたのでしょうか。大臣から,例えば各地の事例をもう一度全部集めるとか,あるいは,こういう検討をすぐ始めてくれとか。

A:今,政務三役の下で,今日も取り上げて,直ちに議論をして,検討しましょうと合意をしたところです。

Q:それは政務三役の中で,そういうことをしようということでしょうか。

A:それを事務方に,議論をきちんとしましょうと,指示をしたということです。

Q:現在,法務省で把握されている同じようなケースが全国に6件あるようですが,この6人のケースについて,見直し・検討をした上で救済をするということも当然検討対象となってくるのでしょうか。

A:これまではそれぞれのケースで,子供さんに対する扱いを御当事者も納得をされたかたちで届けをされているとは聞いていますが,そこはもう一度どういう経緯だったかということは確認をしたいと思っています。