ミルク

試写会にて、映画「ミルク」観賞。


ゲイを公表して初めて選挙による公職(サンフランシスコ市政執行委員)についたハーヴィー(ハーヴェイ)・ミルクの死ぬまでの8年を描いた映画。


ミルクとその仲間たちVSアンチ・ゲイ勢力とのガチンコ対決や、必ずしもうまくいかない私生活など、見所満載だったが、個人的には、ミルクを暗殺した、ダン・ホワイト(Dan White)に興味を持った。
ダンは、そこらのチンピラではなく、ミルクと同僚の執行委員。
それが、実話として、最後には市長とミルクを銃で暗殺。
その後裁判で、ダンは、「うつ状態」だったことより、心神耗弱と判断され、刑期が短縮されて、それに怒ったゲイたちが「ホワイト・ナイトの暴動」を起こしたという。
でも、詳しいことは分からないが、ダンは出所後自殺したところを見ると、実際にうつ傾向はあったのでは。
ミルクをはじめとするゲイの人々のメンタルヘルスよりも、ホモフォビックで殺人まで起こす人の方がよほど、精神病理学的に興味深い。
この映画では、ミルクはダンのことを、同性愛傾向があるのではと疑っていた。
すなわち、ほんとは同性愛傾向があるのだけど、ホモフォビックだから無理に結婚して子供を産んで、自分の不安をうち消すために、ゲイを攻撃するという心理構造。
このあたり、調べればいろいろ論じられているだろうから今後の課題で。


もう一つ、ミルクの選挙参謀レズビアン、Anne Kronenbergは、映画の最後で「3人の子持ち」、とあったので、「レズビアンカップルで人工授精でもしたのかな?」と思い、wikipediaで調べたら、
>While Kronenberg identified as a lesbian in the 1970's, she now considers herself heterosexual after falling in love with a man she met in Washington D.C. in the 1980s, who she later married.(その後男と結婚し、ヘテロセクシュアルになりました)
http://en.wikipedia.org/wiki/Anne_Kronenberg
とあった。うーむ。


あと、映画で最後にミルクの言っていたセリフの引用。


「If bullet should enter my brain, let that bullet destroy every closet door」(もし弾丸が私の頭を貫くなら、弾丸は全てのクローゼットの扉もぶちこわすだろう)
「I know you cannot live on hope alone, but without it, life is not worth living. So you gotta give them hope.」
(希望だけでは生きてはいけない。しかし希望がなければ人生は生きるに値しない。だから、希望を与えないといけない。)