女装と日本人

「女装と日本人」拝読。


すさまじい本であった。
研究者として、日本史上の女装に関する、資料収集もすごいが。
単なる資料収集にとどまらず、自らが女装者であるがゆえの、視点、考察がすさまじい。
通常の学者であるなら遠慮するようなことも、自己の体験も交えながら、タブーなく書き込んでいる。


たとえば、しょっぱな、ヤマトタケルの話が出てくるが。
通常の歴史的解釈はヤマトタケルが女性に変装し、相手を油断させての熊襲退治。
しかし、本著では、相手はヤマトタケルを女装者だと知っていたのでは、と解釈し。
さらに、ヤマトタケルが相手を殺すとき、剣を尻より刺したことより、「尻には尻を」だったのでは、すなわち、ヤマトタケルが最初、相手から肛門性交をされた/されそうになった、からこそ、剣を尻より刺したのでは、と考察する。
まったくもって、すさまじい考察である。


あと、印象に残ったのが室町時代のこんな歌。
P50
>「いかにして けうとく人の 思ふらん 我も女の まねかたぞかし」
>「どうして、キモい(うす気味悪い)と、人は思うのでしょう。私はちゃんと女の姿をしているのに」となります。なんだかとても身につまされる歌です。

女装と日本人 (講談社現代新書)

女装と日本人 (講談社現代新書)