性同一性障害 小学生で大半違和感 岡山大大学院患者調査 68%「自殺考えた」

http://www.sanyo.oni.co.jp/sanyonews/2007/12/09/2007120911003579011.html
2007.12.9.山陽新聞

性同一性障害 小学生で大半違和感 岡山大大学院患者調査
68%「自殺考えた」


 日本精神神経学会性同一性障害に関する委員会」委員長の中島豊爾・岡山県精神科医療センター理事長の話 不登校の理由に性同一性障害も含まれるなど、教育上の問題との関連を指摘した点で大変示唆に富む。多感な子どもの心を知る上で、この調査結果を生かしてほしい。
 肉体的な性別と心の性別が一致しない性同一性障害で、患者の大半が小学校時代に既に自分の性別に違和感を覚え、全体の4人に1人がその後不登校になり、さらに自殺を考えたことのある人は7割近くにも上ることが、中塚幹也・岡山大大学院教授らの実態調査で分かった。
 性同一性障害は、原因がはっきりしておらず患者数なども詳しく分かっていない。小学生当時から患者が違和感を自覚したとする調査結果は、実態を知る上で重要な手掛かりとなり、学校現場での同障害に関する理解と教育が求められそうだ。
 調査は、身体的な性的特徴を変化させるホルモン療法や性別適合手術などの治療を受けるため、同大病院を受診した全国の661人に聞き取りを行って実施。自分の性に違和感を覚えた時期、不登校や自殺未遂の有無などを尋ねた。
 自分の性に違和感を自覚した時期は、「体は女性で心は男性(FTM)」の患者407人のうち84%(343人)が小学校低学年までに、「体は男性で心は女性(MTF)」の254人のうち57%(147人)が小学校高学年までと回答。「中学校」と答えたのは、FTMは3%(13人)、MTFは21%(55人)だった。
 また、全体の4人に1人が不登校、5人に1人が自傷行為、自殺未遂を経験。自殺について悩んだことのある人は68%にも上った。自殺を悩む時期は中学校時代が最も多く、小学校も1割以上いた。男性的、女性的な体に変化する2次性徴や、学生服の着用が背景にあることも分かった。
 中塚教授は「教育現場では早い段階から、性同一性障害に対する相談窓口などの対応が必要だと分かった。悩みを抱える子どもたちが相談しやすくなる環境をつくれば、自殺未遂や不登校を経験する人も少なくなるのでは」と話している。