性志向と性指向2

しつこい性格なので。


「志向」についてしつこく考え、本当の意味がわかった気がする。

使用例としては、
上昇志向、権力志向、健康志向、「民主国家の建設を志向する」など。

すなわち、志向には必ず、その目指すものとして、何らかの概念、イデオロギーがセットになっている。
そして志向するものは単独ではなく、そのイデオロギーに共感する同志がいる。


視覚的イメージで表現すれば、円の中心に何らかの概念があり、その周囲の人々がその概念の中心に向かって集まってくるという感じだ。


つまりより明快に「志向」を定義すると、
「何らかのイデオロギーに対し、それに共鳴、共感する人たちが、そのイデオロギーの社会的・個人的達成を目指すこと」
というかなり、政治的臭いのぷんぷんする言葉なのである。


だから、「同性への性志向」といったら、「同性に性的魅力を感じる」という意味ではなく、「ゲイ・レズビアンの人権運動に共鳴する同志たちよ! いまこそ、旧弊なるヘテロセクシュアル社会を破壊し、ともにゲイ・レズビアン運動に身を投じようではないか」
的ニュアンスがでてしまうのである。


しかし、政治的色彩が出るのは、戦術的にまずいだろう、医学的科学的説明のほうがよいだろう、ということで、無味乾燥な「性指向」を使うようにしたのではあるまいか。


すなわち、ゲイ・レズビアンの人権擁護という政治的目的達成のために、「志向」という政治的用語はあえて用いなかった、という逆説的な話なのではあるまいか。