悩む教諭の姿、作品に 全国大会で来月発表 城陽高

annojo2006-06-16

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2006061600031&genre=F1&area=K20
Kyoto Shimbun 2006年6月16日(金)
悩む教諭の姿、作品に
全国大会で来月発表 城陽


 体は男性だが、心は女性−。性同一性障害に悩み、カミングアウト(公言)した高校教諭が城陽市にいる。学校でも「女性」の要素を隠さずに生きる選択をして5年。放送部の生徒が、教諭を取り上げたラジオドキュメンタリーを制作した。「私は私」という教諭の思いを淡々と。7月25日、東京で開かれる全国放送コンテストで発表する。

 城陽高(城陽市寺田)の土肥いつき教諭(44)。小学生のころから、女性に同一性を感じていた。教諭になっても、夜、女性の服を着て安らぐ自分に「変態や」と苦しんだ。9年前、トランスジェンダー(性別を超えた生き方をする人)の存在を知り、1年悩んで妻に告げた。5年前には性同一性障害を学校に報告。ひげをそり、女性用ズボンで教壇に立ち始めた。

 学校では当初、「オカマ」とささやく生徒もいて、つらかった。だが顧問を務める放送部の部員たちは「ドッヒー(教諭の愛称)はドッヒーやん」と励ました。「この子たちなら」。10年ぶりの全国大会を目指す部員8人に「自分をテーマにしていいよ」と告げた。
 ナレーター〈ランニングをするため、放送部室に着替えに来る先生がいます〉

 部員〈なぜ放送部室で着替えるんですか?〉

 土肥教諭〈10年ぐらい前まで、ひげ生やしてた男やってん〉

 部員〈小さい頃(ころ)は?〉

 土肥教諭〈ずっと女の子の服着たいなとか思っててん。自分は変態やと思って絶対に人に言わへんかった〉…

 作品は7分間。なぜ更衣室を使わず、1人で着替えるのかという疑問から、周囲の驚き、名前を「謙一郎」から「いつき」に変えた理由に踏み込み、最後にこう結ぶ。

 〈トランスジェンダーは真剣に悩み、生きています。カミングアウトしても、友人を失ったり、死のうと考えた人もいます。けれども身近な人間で理解してくれる人が支えになります…〉

 作品は6月11日、府高校放送コンテストを突破し全国大会に進んだ。インタビューを担当した部長の村田香菜さん(2年)は「真剣に悩む1人の先生が実際にいるんだと、伝えたい」。