医療措置怠り受刑者死なす 刑務所の女性常勤医を書類送検

以下のニュース。
http://www.sankei.co.jp/news/060303/sha049.htm

医療措置怠り受刑者死なす 刑務所の女性常勤医を書類送検

 栃木県警栃木署などは3日までに、栃木刑務所(栃木市)に服役していた女性受刑者=当時(31)=の医療措置を怠り死亡させたとして、業務上過失致死の疑いで30代の女性常勤医を書類送検した。
 法務省矯正局は「刑務所内の医療行為で医師が過去に書類送検された例は把握していない」としている。
 調べでは、常勤医は受刑者が低栄養状態になり体重が減少していることを知りながら、早期に病院に移すなどの適切な措置を怠り、2005年1月10日、搬送先の病院で多臓器不全で死亡させた疑い。常勤医は「やるべき治療はしていた」と供述しているという。
 女性は覚せい剤取締法違反罪で04年1月から同刑務所に服役。覚せい剤の後遺症とみられる症状がみられ、食事を拒むなどしていたという。
 同刑務所は「書類送検について承知していないが、所内では適正な治療が行われていたと認識している」としている。


調査した所、この常勤医は内科医。
http://www.mizuhoto.org/seisaku/01back/003._01muki.html
>栃木刑務所 1 内科


精神科医は、非常勤で2人いるが、月1,2度顔を出しているに過ぎない。
http://nagano.dee.cc/roujuiren.htm
>栃木刑務所    精神科2人(2/4) 非常勤 (週1日13時〜16時半(月2回))                    非常勤 (週1日9時半〜14時半(月1回))


つまり、覚醒剤後遺症で拒食という、精神科医でも難しい例をこの内科常勤医は治療していた事になる。
つまり、そもそもの医療体制が不備であり、個人的にこの内科常勤医の責任を問うのは酷な気がする。
すなわち、精神科常勤医をもっと増やすべきかと。
ただ現状でも給料も高くなく、兼業も出来ず、刑務所勤務の精神科医は希望するものも少ないようだが。


以下、参考までに類似の事件に関する、2003.04.23での衆議院法務委員会での山花郁夫氏の質問。
http://www5a.biglobe.ne.jp/~yamahana/kokkai/kaigiroku/20030423.html

○山花委員 次に、配付した資料を一枚めくっていただきまして、十三―一の通し番号がついている、これも川越の少年刑務所のケースなんですけれども、この摂食障害による低栄養状態で亡くなられた件につきまして、どういう状況で亡くなられたのかということについて御説明ください。
○横田政府参考人 お答えいたします。
 お尋ねの事案でございますが、本人は、入所時に既に著明な低栄養状態にありまして、死亡までの約二カ月間、おおむね週に一度、医師の診察、投薬を実施するとともに、看護スタッフによる喫食指導を行ってまいりましたが、食事を食べたと偽って食品をトイレなどに捨てるなどの抵抗を繰り返す中で病状が悪化いたしまして、死亡当日の午後一時三十五分ころ、房舎において、看護士が本人の状態を確認したところ、問いかけに対する反応が見られず、脈拍及び心音の聴取もしづらい状態となり、失禁も見られたため、直ちに救急車を要請し、外部病院に搬送して救命救急措置を講じましたが、その日の午後三時二十九分ころ死亡したものということでございます。
○山花委員 済みません、今のケースで、入ってきた当時の体重ですとかあるいは血圧について、おわかりになりますでしょうか。私は、体重が三十二・五キログラムで、血圧が、上が七十二、下が四十四と聞いているんですけれども、そのとおりでしょうか。
○横田政府参考人 済みません、今、ちょっと私、把握しておりませんので、至急確認いたします。


>○山花委員 済みません、刑事局長、先ほどの川越の女性のケースと今回のケースについての司法解剖の結果について、どのようなものだったか、わかるのであればお答えください。
○樋渡政府参考人 お答えいたします。
 まず、川越の十三―一の事案についてでございますが、これにつきましては、さいたま地方検察庁熊谷支部におきまして、被収容者死亡の当日、川越少年刑務所から通報を受け、司法検視を実施し、死因が不詳でありましたことから、その二日後、司法解剖を実施しましたところ、拒食に伴う低栄養状態による心筋のミオパシーに基づく肺の急性うっ血水腫により死亡した旨判断されたものと承知しております。なお、ミオパシーとは、筋肉自体が侵されて生じる疾患の総称であると承知をしております。


>○横田政府参考人 ただいまの御質問にお答えする前に、先ほど、川越の十三―一の、死亡した方の入所時の体重等でございますが、先ほど申し上げましたように、入所時は拒食、不眠、低体重、低血圧が認められ、身長が百四十六・五センチ、体重が三十二・五キログラム、血圧が七十二の四十四であった、このように記録が残っております。


>○山花委員 法務大臣、少し考えていただきたいことがございます。
 個別にはいろいろあるので、私が聞いているのが余り芳しくなかった、だから話があるんでしょうけれども、そういうケースなんだろうと思います。ただ、例えば川越の十三―一のケースですと、鑑定留置で入ってきた時点で既に三十二・五キロしか体重がなくて、血圧が、上が七十二の四十四ですから、本当は鑑定留置も、別に刑務所なりなんなりでやらなきゃいけないということにはなっていないわけで、やはり専門的な病院の方でやっていた方が、結果はもしかしたら一緒だったかもしれませんよ、一緒だったかもしれないけれども、本当はそういうことをやっておいた方がよかったのかなという印象を持つ事件ですし、事件というのは言葉がよくないのか、案件ですし、そのほかのものについても、医療として果たして十分だったのかなという印象を持つものがあります。