国際ジェンダー権利法案

The International Bill of Gender Rights (IBGR)(国際ジェンダー権利法案)は、1993年8月26日から29日、テキサスのヒューストンで開催された、the International Conference on Transgender Law and Employment Policyで最初提唱され、その後2回改定されている。
現時点では、実際の法律等に反映されてはいないが、人類の持つべき権利として提唱されている。
http://www.pfc.org.uk/gendrpol/gdrights.htm

以下AJ試訳。
「The International Bill of Gender Rights (IBGR)(国際ジェンダー権利法案)は、ジェンダーの観点から人権および公民権を表現する試みである。しかしながら、以下に掲げる10の権利は、ある特定の集団にのみ適用されうる特別な権利としてみなすべきではない。また、これらの権利はジェンダーアイデンティティジェンダー・ロールが最優先課題となっている人間にのみ適用されうるものでもない。IGBRの10の権利は、普遍的権利であり、全ての人類が要求し実行できるものなのである」


ジェンダーアイデンティティを定める権利
全ての人間は自分自身の中に、自分自身が何者であり何を達成できるかという次第に明らかになる考えを持つ。自己についての個々の感覚は、染色体の性別や外性器や出生時に決定された性別や最初の性役割によっては決定されない。個人のアイデンティティと能力は、社会が押し付ける男性性や女性性によって制限することはできない。個人が、染色体の性別や外性器や出生時に決定された性別や最初の性役割に関わらず、自己の人生が明らかになるにつれ、自己のジェンダーアイデンティティを、定義、再定義することは基本的人権である。
それゆえ、全ての人間は、染色体の性別や外性器や出生時に決定された性別や最初の性役割に関わらず、自己のジェンダーアイデンティティを定義する権利を有する。さらに、自己が定義したジェンダーアイデンティティが、染色体の性別や外性器や出生時に決定された性別や最初の性役割と一致しないことを理由に、人権や公民権を否定されてはならない。


ジェンダーアイデンティティを自由に表現する権利
自分自身のジェンダーアイデンティティを定義する権利を認めるならば、すべての人間は、自己定義したジェンダーアイデンティティを自由に表現する権利も有するであろう。
それゆえ、すべての人間は、自己定義したジェンダーアイデンティティを自由に表現する権利も有する。さらに、なにびとも、自己定義したジェンダーアイデンティティの表現によって、人権や公民権を否定されてはならない。


雇用の確保と維持、および正当な報酬を得る権利
現代社会の経済構造を認めるならば、すべての人間は染色体の性別や外性器や出生時に決定された性別や最初の性役割に関わらず、自分自身および扶養家族にとって、生活を維持・保証し、必須であり、人生を豊かにする職業を学び就労する権利、および職業を確保、維持し、正当な報酬を得る権利を有するだろう。
それゆえ、染色体の性別や外性器や出生時に決定された性別や最初の性役割や自己定義したジェンダーアイデンティティジェンダーアイデンティティ表現を理由に、職業を学び就労する権利、および職業を確保、維持し、正当な報酬を得る権利を、否定されてはならない。


性区分のある場所に行くことや性区分のある活動に参加する権利
自己のジェンダーアイデンティティを自分で定義する権利と、その自己定義したジェンダーアイデンティティを自由に表現する権利を認めるなら、染色体の性別や外性器や出生時に決定された性別や最初の性役割に一致しないからといって、自己定義したジェンダーアイデンティティに従って、特定の場所に行くことや活動に参加することを否定されるべきではないだろう。
それゆえ、染色体の性別や外性器や出生時に決定された性別や最初の性役割に一致しない、自己定義したジェンダーアイデンティティに従って、特定の場所に行くことや活動に参加することを否定されてはならない。


自己の身体を支配し変更する権利
すべての人間は自己の身体を支配する権利を持つ。この権利には、自己定義したジェンダーアイデンティティを表現するために、化粧や薬剤や外科手術によって自己の身体を変更する権利も含む。
それゆえ、自己定義したジェンダーアイデンティティを表現するために、身体を変更する権利を否定されてはならない。さらに、自己定義したジェンダーアイデンティティを表現するために、身体を化粧や薬剤や外科手術によって身体を変更したことや、変更する意思があることを理由に、人権や公民権が否定されてはならない。


合法的な医学的専門的ケアを受ける権利
自己のジェンダーアイデンティティを自分で定義する権利と、その自己定義したジェンダーアイデンティティを自由に表現する権利を認めるなら、染色体の性別や外性器や出生時に決定された性別や最初の性役割を理由に合法的な医学的あるいはその他の専門的ケアを受ける権利を否定されるべきではないだろう。
それゆえ、染色体の性別や外性器や出生時に決定された性別や最初の性役割を理由に、化粧や薬剤や外科手術によって身体を変更するときに、合法的な医学的あるいはその他の専門的ケアを受ける権利を否定されてはならない。


精神医学的診断と治療から自由である権利
自己のジェンダーアイデンティティを自分で定義する権利を認めるなら、ジェンダーアイデンティティジェンダー・ロールだけを理由に、精神医学的診断の対象とされるべきではないだろう。
それゆえ、自己定義したジェンダーアイデンティティジェンダー・ロールだけを理由に、精神障害者として精神医学的診断や治療の対象とされてはならない。


性的表現の権利
自己のジェンダーアイデンティティを自分で定義する権利を認めるなら、すべての同意のある成人は自由に性的表現する権利を有するであろう。
それゆえ、性指向を理由に人権や公民権が否定されてはならない。さらに同意のある成人間で行われる性行動によって示される、自己定義したジェンダーアイデンティティの表現を理由に、人権や公民権が否定されてはならない。


誓約し愛し合う関係を築き権利、婚姻関係を結ぶ権利
全ての人間に、自己定義したジェンダーアイデンティティを自由に表現する権利と、ジェンダー表現方法として、性的表現の権利を認めるなら、自分自身やパートナーの染色体の性別や外性器や出生時に決定された性別や最初の性役割に関わらず、誓約し愛しあう関係を築き、婚姻関係を結ぶ権利を全ての人間は有するであろう。
それゆえ、自分自身やパートナーの染色体の性別や外性器や出生時に決定された性別や最初の性役割を理由に、あるいは自己定義したジェンダーアイデンティティ表現を理由に、誓約し愛しあう関係を築き、婚姻関係を結ぶ権利を否定されてはならない。


子どもをつくり、産み、育てる権利、子どもを養育し、監護し、親としての能力を発揮する権利
自己定義したジェンダーアイデンティティを自由に表現する権利と、ジェンダー表現方法としての性的表現の権利と共に、誓約し愛しあう関係を築き、婚姻関係を結ぶ権利を認めるなら、染色体の性別や外性器や出生時に決定された性別や最初の性役割や自己定義したジェンダーアイデンティティやその表現に関わらず、実子であれ養子であれ、子どもをつくり、産み、育て、養育し、監護し、親としての能力を発揮する権利を個人は有するであろう。
それゆえ、自分自身やパートナーや子どもたちの染色体の性別や外性器や出生時に決定された性別や最初の性役割を理由に、あるいは自己定義したジェンダーアイデンティティアイデンティティ表現を理由に、実子であれ養子であれ、子どもをつくり、産み、育て、養育し、監護し、親としての能力を発揮する権利を否定されてはならない。