性別の取扱いの変更申立却下審判に対する即時抗告事件

>なにわ太郎のつぶやき日記
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>特例法下の却下例が判例集に 2006年2月26日(日)
東京高裁平成17年5月17日決定(平成17年(ラ)315号 性別の取扱いの変更申立却下審判に対する即時抗告事件)家庭裁判月報57巻10号99頁――棄却(確定)

【要旨】 いわゆる「子無し要件」を定めた性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(以下の筆者執筆部分では「特例法」という。本件決定では「法」と呼んでいる。)3条1項3号は憲法に違反しておらず、子を持つ性同一性障害者に対して性別の取扱いの変更を認めなかった原審判を支持し、即時抗告を却下した。

【事実の概要】 Aには、離婚した元の配偶者との間に2人の子がいる。Aは、特例法に基づき、性別の取扱いを男から女に変更する審判を求めた。しかし、原審のさいたま家裁熊谷支部は、Aには2人を子がいるから、特例法3条1項3号の要件を欠くとして、性別の取扱いの変更の申立てを却下した。

【裁判理由】 「親子関係などの家族秩序に混乱を生じさせたり、子の福祉に影響を及ぼすことがないようにする必要があることから[特例法3条1項]3号を、……要件として定めたものと解される。そうすると、……十分な合理的根拠があるというべきであって、……これを満たさない性同一性障害者の利益が制約されるとしても、そのような規制が立法府裁量権を逸脱し、著しく不合理であることが明白であるといえず、憲法13条に違反するものでない。そして、……これを満たす性同一性障害者とこれを満たさない性同一性障害者との間に区別が生じることになるとしても、憲法14条1項に違反するものではない」。

【参照条文】 憲法13条、14条1項、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条、家事審判法9条2項。