ふたなりひら

「書物の王国9両性具有」。

両性具有 (書物の王国)

両性具有 (書物の王国)

両性具有に関する古今東西の短編集。
ぱらぱらめくったが、あまり面白くなく。


http://www.asahi-net.or.jp/~jr4y-situ/refer/oukoku.html
アンドロギュヌス讃歌(ペラダン 倉智恒夫訳)
かのオルフェウスもいうように(多田智満子)
アンドロギュノスについて(プラトン『饗宴』 森進一訳)
サンギュリエ城(グールモン 倉智恒夫訳)
ムーラデーヴァと性転換の秘薬(ソーマデーヴァ『屍鬼二十五話』 上村勝彦訳)
両性具有(干宝『捜神記』 竹田晃訳)
狐(泉鏡花
魔術師(谷崎潤一郎
奉教人の死芥川竜之介
異説蝶々夫人日影丈吉
ルツィドール(ホーフマンスタール 高橋英夫訳)
ヘルマフロディトス(サマン 田中淳一訳)
女から男へ変る話(プリニウス 澁澤龍彦訳)
両性具有者エルキュリーヌ・バルバンの手記に寄せて(フーコー 浜名恵美訳)
あるスキャンダル事件(パニッツァ 種村季弘訳)
江戸の半陰陽(江戸時代随筆 須永朝彦編訳)
コントラルト(ゴーティエ 齋藤磯雄訳)
サラジーヌ(バルザック 野内良三訳)
ロメーン・ブルックス澁澤龍彦
双面(円地文子
ふたなりひらの系譜(須永朝彦
 解題(須永朝彦


しかし、最後の、「ふたなりひらの系譜」(須永朝彦)は興味深かった。


ふたなりひら」とは、両性具有をあらわす「ふたなり」と平安朝の歌人在原業平」をかけた言葉。
すなわち、近世初期には、業平の美男振りが、両性具有的なものと受け取られていたという。


>女かと見れば男の万之介ふたなりひらのこれも面影


(歌舞伎役者の島田万之介の美しさはまるで女のようで、両性具有的に美しい業平のようだ。)


>さてまた右近源左衛門、女がたの初として、むかし男の舞の袖、女かと見えて男なりけり。さながらになりひらめける其ふぜい


で、この「ふたなりひら」に象徴される近世のアンドロギュヌス嗜好は、アンドロギュヌスが男女両方の美を併せ持つ美の所有者としてみられたことによるもので、芸能の世界では強く見られた美の表現形式だったと。