性同一性障害が広く知れ渡ったことと、個人輸入等で入手容易なことより、最近、統合失調症の方で、「自分は性同一性障害だ」と思って、ホルモン療法をしている人を時々見かける。
これまでも、統合失調症の人が、性転換願望/妄想を持って、自己去勢をして病院に運ばれて、という症例報告は時々あったが。
最近は、そこまでではなくても、なんとなくホルモン療法を開始する人がいるようだ。
もちろん、
「ホルモン療法の適用ではない」
と考えるのが本筋なのだが。
しかし、現実には精神科ないし医者にかからないままホルモン療法をしていることが多く、その場合はいかんともしがたい。
また、すでに性腺を除去する手術をしている場合もある。
そのようなことから、統合失調症にホルモン療法の与える精神的な影響が気になるところである。
ざっと調べた限り、そういう文献は見当たらない。
そこで、とりあえず、統合失調症と性ホルモンの関係を調べてみた。
http://d.hatena.ne.jp/annojo/20060115/p1
http://d.hatena.ne.jp/annojo/20060113/p2
すると大体こういうことらしい。
エストロゲン:統合失調症に対して予防的役割の可能性。(しかし不確実?)
テストステロン:少ない場合、統合失調症の陰性症状、抑うつ症状をきたす。(かなり確実?)
以上より、以下の可能性。
男性統合失調症患者が女性ホルモン服用。
エストロゲンそのものは、神経遮断薬の補助的作用となる可能性がある。
テストステロン低下により、陰性症状、抑うつ症状が悪化。
女性統合失調症患者が男性ホルモン服用。
テストステロンそのものは、陰性症状、抑うつ症状改善の可能性。
エストロゲン低下により、神経遮断薬必要量の増加、あるいは再発リスクの増大。
まあ、しかし、上記は可能性であって、なんともいえないのが現状、更なる調査の必要あり。
もちろん、繰り返しになるが、いたずらに統合失調症患者がホルモン療法を開始しないように考えるのが本筋だが。