内山登紀夫先生と藤川洋子先生

夜。


日本の発達障害研究の最強ツートップ、内山登紀夫先生と藤川洋子先生を講師に呼んでの勉強会に潜入。


内山先生は、勝手にご老人と想像していたら、1956年生まれと意外に若かった。
藤川先生は、家裁調査官を辞めて大学教授になっていた。髪の毛が昔より茶髪になっていた。さすが民間人。


テーマは、イギリスにおける触法の発達障害者の対応について。
イギリスの施設での治療プログラムの話とか、あるあるネタ満載で、個人的に大うけ。
周囲の研修医とか無視して、質問しまくり満足。


懇親会では内山先生に懸案であったアスペルガー性同一性障害の関連についてご教示いただく。
やはり、これに関しては、あまり詳しい論文を書かれていないそうなので、ぜひご執筆いただきたいと懇願する。


げっぷが出るほどおなかいっぱいになった一日。

播磨のコメント

朝っぱらから。
勤務中だというのに、次々とマスコミから電話がかかってくる。
播磨での小2の性同一性障害についてのコメント取材。


流れとしては、
1.今朝の神戸新聞報道。
2.それを見ての他社の追っかけ取材。
3.それに対応しての播磨某市教育委員会、10時からの記者会見。
4.騒ぎますます、大きくなる。


という感じ。
話したこととしては。


基本的には小児の性同一性障害は大人の性同一性障害と必ずしも同一ではない。
つまり、小児期に性同一性障害であっても、大人になればそうでないケースも文献的には多い。


たとえば、Greenの研究。66人の小児MTFの追跡調査。
追跡できたのは44名。
そのうち、33名が性的空想において同性愛(男好き)かバイセクシュアルに。
性転換を真剣に望んだのは1名だけ。
ほかデータとしては、下記参照。
http://www.harikatsu.com/nikka2/calen.cgi?mode=view&YMD=20041031&w=0
>ZuckerとBradley自身の、追跡調査によれば、思春期前の45人のGID小児の中で、14%が思春期になっても性転換を希望した。
我々、Cohen-Kettenisの報告では、初診時に12歳前だった129人の小児の中で、74人が、すでに12歳を超えていて、すなわち性転換を今後希望する可能性があるということだ。
74人中、17人が強い性別違和を持ちSRSを望む青年だ(23%、女性8、男性9)。


つまり小児期に性同一性障害だったとしても、その後もそうである可能性は必ずしも高くない。


だから、できるだけどのような経過をたどってもよいような柔軟対応を考えるべき。


今回の件に関しては。
直接関わった人たちが判断したことなのでそれは尊重したいと思います。


ただマスコミ報道の影響は心配である。

性同一性障害を受け入れ 小2男児、女児として通学 播磨地域、追加記事

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060518-00000062-mai-soci
性同一性障害>これからの問題も… 兵庫の小2受け入れ

 性同一性障害GID)と診断され、体は男児だが女児として通学している小学2年生。地元・兵庫県内の教委が保護者側の意向を受け入れたことに、専門家 らは一定の評価をする。しかし、水泳授業、性教育……。学年が進み体が成長するにつれて直面する現実がある。男児の「心の性」をどう受け入れるのか。教育 現場や地域社会も問われている。
教育委員会
 会見した地元の教育委員会によると、男児は5歳のころ、母親に「おちんちんは取れないの?」と問いかけ、自分が男児であることへの違和感を訴えた。兄と同じ少年野球教室に通わせようとすると、かたくなに拒み、バレエ教室に通わせると喜んでいたという。
 女児として学校生活にとけ込んでいるが、5年生になると、学校行事として合宿が行われ、その際、クラスメートと一緒の入浴もある。第2次性徴を迎える時 期で、その際の対応について教委は「状況をみて慎重に対応したい」と話しているが、子どもたちが神経質になる時期であり、多くの課題が残っている。
■当事者たち
 当事者団体「性同一性障害をかかえる人々が、普通にくらせる社会をめざす会」(東京都)によると、GIDの診断を受けた人は全国で延べ約4000人いる といわれ、国内外で既に性別適合手術を受けた人は1000人程度とみられている。昨年末までに約370人が戸籍上の性別変更を家裁に申し立て、約330人 が認められた。
 同性愛者であることを公表した大阪府議の尾辻かな子さん(31)は「学校や教育委員会が本人の意思を尊重した対応」と評価する一方、「幼いころの性別へ の違和感は将来揺らぐこともある。まだ思春期を迎える前に、GIDの診断を受けたのは早すぎる気もする。性の多様性に目を向けた対応が必要だ」と慎重さも 求めた。
 男性から女性に性別を変更した東京都世田谷区議の上川あやさん(38)は「第2次性徴や思春期の前で、慎重にみなければならない時期ではあるが、体の性 に対する本人の嫌悪感が強いのならば現実的な対応。大人の『事なかれ主義』で子どもが置き去りにされることを避けた点で評価できる」と話す。
■識者
 教育評論家で法政大キャリアデザイン学部尾木直樹教授は「人権を尊重した先駆的な行政判断」と評価しながらも、今後、いろいろな問題が起こると指摘す る。「現在は女の子とプールに入ったり、体操をしたりできるだろうが、小学4年生ぐらいになるとクラスメートも気づきはじめ、周りとの関係が難しくなるだ ろう。教師やクラスメートの父母らは、善意のつもりでむやみに動くようなことはしないほうがいい」と慎重な対応を求める。
 尾木教授によると、北欧では同様の実例があるといい「そうした事例を研究している専門家や精神科医、カウンセラーと早急にプロジェクトチームを作り、保護者や子どもにヒアリングをして今後の接し方を考えていくべきだ」と話した。
 ◇依然高いハードル
 性同一性障害GID)をめぐる社会環境は厳しく、横浜市の男性が勤務していた出版社から女装を理由に解雇され、地位保全の仮処分を申し立て、02年6 月に認められたケースもあった。一方で、同年3月に女性として活動していた競艇選手、安藤大将さん(当時は千夏)が、男性としての活動を認められた。03 年には戸籍上は男性の大阪市の職員が女性として勤務を始めた。
 03年7月には家庭裁判所の審判で戸籍の性別を変えられる特例法が成立、04年の施行後にタレントのカルーセル麻紀さんが男性から女性に、作家の虎井ま さ衛さんが女性から男性に、それぞれ戸籍を変更した。しかし、GIDの人たちでつくる団体などは「依然ハードルが高い」と指摘、子供がいないことなどを変 更要件とする同法の改正を求めている。
毎日新聞) - 5月18日13時49分更新


http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000033414.shtml
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000033420.shtml
神戸新聞
「女の子やもんな」医師の一言で明るく 母親が手記

2006/05/18

  性同一性障害と診断され、女児として小学校に通う播磨地域の男児(7つ)の母親が、十八日までに神戸新聞社に手記を寄せた。生後間もなく患った大病、初め て異変を感じた出来事など、男児の生い立ちをたどり、医師に女児として育てるよう言われた気持ちを「息子は娘になりました」とつづっている。「性同一性障 害としてではなく、一人の女性として、自然に接していただきたい」。三枚にわたる手記は、「わが子のために頑張っていきたい」で終わる。手記の全文は以下 の通り。
     ◇     ◇
 私の二男が性同一性障害と診断されたのは、6歳のときでした。
 小さいころから病気がちで、生後2週間から入退院を繰り返し、原因不明の数種の病気をしてきました。そして、ただただ「生きてほしい」という思いで今まできました。
 そんな中、異変を感じたのは5歳のときでした。もともと、性格もおとなしく、内気な子でかわいいものが大好きな息子に「男らしくなってほしい…」と思い、長男が所属する野球チームに入団させました。
  何度か練習に通ったある日、「なんで女の子やのに野球をせなあかんの?」と言われ、耳を疑いましたが、「おチンチン付いてるから、女の子じゃなくて、男の 子やん」と言うと、「じゃあ、なんで女の子やのに付いてるんよ」と泣き出してしまい、その後2週間、食事もあまり取らず、笑うことも泣くことさえもしなく なりました。
 そして小児科で相談し、心理に通い始め、今ではジェンダーの専門の先生に受診しています。先生には「女の子として育ててあげ ればよい」と言われ、本人にも「女の子やもんな。おチンチンみたいなのが付いてるだけで、女の子やもんな」と言い、その「女の子やもんな」の一言で、息子 は娘になりました。
 おとなしく、内気な子が一言でとても明るく活発になり、想像もできないくらい変わり、人前に出ることも大好きになり、通っていた当時の保育園の先生方もびっくりするほどでした。
 病気がちだったことも忘れるほど、元気になりました。「女の子やもんな」の言葉によって、精神的にも落ち着いたからでしょう。息子にとっては、この言葉がとても大きく意味のある深いものでした。
 認められることにより、「この子がこんなに喜んで、元気でいてくれるのなら…」と家族みんなで認め、女の子として育てることにしました。
 このことを通っていた当時の保育園の担任に話を聞いていただき、ご理解してくださり、楽しく保育園に通うことができました。また、教育委員会をはじめ、小学校の先生方にもご理解とご協力をいただき、女児として入学いたしました。
 今では、大好きな学校と5歳から習い始めたバレエ教室に通い、毎日がとても楽しく、明るい女の子として日々過ごしています。
 たくさんの方々に支えられ、ご理解とご協力をいただけたおかげで、わが子が毎日楽しく過ごせることを心より感謝し、この場をお借りしてお礼申し上げます。
 現在、わが子のように、たくさんの方々が同じように苦しんでおられるようです。性同一性障害としてではなく、一人の女性(男性)として、自然に接していただきたいと思います。そして、ご理解いただき、温かく見守っていただければ幸いです。
 これから先、成長とともに乗り越えなければならないたくさんの壁と出合うことでしょう。そして、その都度向き合い、乗り越えていくためにも、私自身もっと勉強し、わが子のために頑張っていきたいと思います。



神戸新聞
学籍上は男児と記載 「学校側の配慮」 性同一性障害受け入れ

2006/05/18

  播磨地域の小学校二年男児(7つ)が、心と体の性が一致しない「性同一性障害GID)」と診断され、教育委員会が女児での受け入れを認めた対応で、学校 に保存する「学籍」では、戸籍の性別と一致させるべきとの判断から、男として記載していることが、十八日までに分かった。GID患者の戸籍の性別変更を認 める特例法(二〇〇四年施行)は成人が対象で、児童の戸籍上の性別は変えられない。教育委員会側は、今回の受け入れを「学校の配慮によって実現した」とし ている。
 学籍は、国が学校に義務付けている「指導要録」の「学籍に関する記録」のこと。児童生徒の氏名や住所、生年月日などに加え、性別 の記入欄がある。学校教育法施行規則によると、保存義務は二十年。小学校は、学籍に記した情報を、児童の転校先や進学先の中学校などに申し継いでいく。
 教育委員会の話では、昨年一月、男児の祖母から「女児で受け入れてもらえないか」と相談を受けたときから、学籍上の性別は体の性に合わせる方針だったという。
 男児が通う学校では、出席簿や座席、トイレなど、ほかの児童の目に入るすべての面で「女児」としての扱いを徹底している。入学式も女児の列で出席させた。
 教育委員会によると、学校側が性同一性障害の子どもを心の性で扱うよう定めたマニュアルなどはない。この男児の場合も、女児として扱うことを記した文書は存在しないという。
 男児の母親は「戸籍は男で、女であることを証明するものは何もない。教育委員会や先生など、たくさんの方のご理解とご協力に、深く感謝している」と話している。(霍見真一郎)
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000033421.shtml
地元教委会見「よりよい成長願い判断」

2006/05/18

 播磨地域で「性同一性障害GID)」と診断された男児(7つ)が、女児として通学していることを受け、地元の教育委員会が十八日午前、会見し「子どものよりよい成長を願っての判断。周囲ともども温かく見守ってほしい」と要請した。
 同委によると、受け入れは「女児としての扱いを望む男児への配慮」が最大の理由とした。昨春の入学から現在に至るまで、校内では「女児としてごく自然に振る舞っている。周囲との摩擦や問題はこれまでのところ一切ない」と説明した。
 兵庫県教委の岡野幸弘教育次長も会見し、「これまでこういった事例は聞いたことがない。今後の対応を考える上で、(男児の)人権、プライバシーに対する注意がポイントになる」と話した。


http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kyousei_news/20060518ik09.htm
小2男児性同一性障害と診断
女児として学校生活
 兵庫県内の小学2年男児(7)が、心と体の性が一致しない「性同一性障害」と診断され、「女児」として通学していることが18日、明らかになった。
 保護者の相談を受けた教育委員会は「保護者、児童の希望や、医師の判断を尊重し、女児としての受け入れを決めた」と説明している。文部科学省などによると、児童生徒の性同一性障害を学校現場が受け入れるのは極めて珍しい。
 教育委員会によると、児童は5歳の時に性同一性障害が表れ、通っていた保育園で男の子と同じグループ分けをされるのを極端に嫌がるようになり、食事を取らない日が続いたという。
 このため、小学校入学を控えた昨年1月、祖母が教委に「女児として受け入れてほしい」と相談。専門医からも性同一性障害と診断され、「子どもが生 活しやすいように配慮するのが、本人の幸せでは」とアドバイスされたといい、保護者と教委、学校が面談を重ねた結果、女児としての受け入れを決めたとい う。
 児童はスカートでの通学が多く、他の児童や保護者は男児と知らず、トラブルなどはないという。
 教委側は18日午前、記者会見し、「高学年になると宿泊訓練など難しい問題も出てくるだろうが、保護者や本人の意向を確認しながら対応していきたい」と話した。
 性同一性障害学会副会長で大阪医科大学の康純講師(精神科)の話「低学年では男女の区別の必要性がほとんどなく、現状の対応で問題はない。だが思春期になると身体も成長し、問題が生じる可能性がある」
 性同一性障害GID) 外形的な性別と、いわゆる心の性別が一致しない、世界保健機関(WHO)で認める医学的疾患。国内の主要医療機関では約4000人がこの障害と診断されたが、原因は不明。
(2006年5月18日 読売新聞)


http://www.asahi.com/life/update/0518/009.html
朝日新聞
性同一性障害男児 小学校が「女児」として受け入れ
2006年05月18日12時21分
 兵庫県内の公立小学校が、心と体の性が一致しない「性同一性障害」(GID)と診断された小学2年の男児(7)を、女児として通学させていることが18 日、わかった。地元自治体の教育委員会が、医師のアドバイスなどをもとに判断し、受け入れを決めたという。思春期の「第二次性徴」を控えた児童が体とは別 の性で学校生活を送る例は全国でも珍しく、専門家からは慎重な対応を求める声もあがっている。
 教育委員会によると、この男児は幼児期から、ぬいぐるみやスカートが好きで、男の子として生活することに苦痛を感じていた。小学校入学前の05年1月ご ろ、大阪府内の病院で性同一性障害と診断され、医師からは「女の子と認めていく方向が望ましい」とアドバイスを受けたという。
 教育委員会と学校は、保護者と面談した結果、医師のアドバイスをもとに、入学直前の同年3月末に女児として受け入れることを決定。入学 後は、出席簿や身体測定などで女児として扱い、水泳も女児の水着で参加し、女子トイレを利用している。他の児童や保護者に直接説明していないが、現在のと ころ混乱は起きていないという。
 教育委員会の担当者は「医師のアドバイスが受け入れの最終的な判断になった。今後の対応は、そのときそのときで判断をしていきたい」と話している。
 〈性同一性障害〉心と体の性が一致せず、自分が間違った性別に生まれたと確信しているため、社会的、精神的に困難を抱えている状態。1万 〜10万人に1人の割合でいると推定される。日本精神神経学会ガイドラインで、ホルモン療法や性別適合手術などの治療指針を定めている。04年に特例法 が施行され、性別適合手術を受けた独身の成人について、子どもがいないなどの条件を満たせば、戸籍上の性別を変更できるようになった。

http://www.chinadaily.com.cn/world/2006-05/18/content_594365.htm
Primary school accepts boy as girl
(Reuters)
Updated: 2006-05-18 14:08
A Japanese primary school is allowing a 7-year-old boy with a gender identity disorder to take part in school life as a girl, an unprecedented move in this conservative nation, local media said on Thursday.
The decision marks a growing awareness in Japan of gender identity disorder, in which patients feel they are trapped in the wrong gender's body, although transgendered people and transsexuals still face widespread discrimination.
According to media reports, the boy in Hyogo, western Japan, was diagnosed with gender identity disorder before starting primary school after complaining that he felt uncomfortable with being a boy.
Based on the diagnosis and consultations with the boy's parents, the school is allowing him to participate as a girl, including using girls' bathrooms and attending swimming class in a girl's bathing suit.
Officials at the Hyogo board of education issued a statement neither confirming nor denying the reports, but saying they would protect the student's human rights and privacy.
Sex change operations have been legal in Japan since 1998 but are not permitted until patients become legal adults at 20. Preparatory hormone treatments are allowed from age 18.
In what was hailed as a major step forward, people with gender identity disorder -- whose numbers are estimated at more than 10,000, according to Kyodo news agency -- won the right in 2003 to change their gender on key identity documents under strict conditions.
Authorities had previously refused to allow gender changes except in the case of "mistakes."

性同一性障害を受け入れ 小2男児、女児として通学 播磨地域

神戸新聞
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000033162.shtml
性同一性障害を受け入れ 小2男児、女児として通学 播磨地域

2006/05/18

  播磨地域の小学校二年の男児(7つ)が、心と体の性が一致しない「性同一性障害GID)」と診断され、女児として学校生活を送っていることが十七日、分 かった。教育委員会が保護者側の意向を受け入れ、現場の教職員には事情を説明したという。GID学会(神戸市、理事長=大島俊之・神戸学院大学法科大学院 教授)によると、低学年の児童がこうした形で受け入れられるのは全国的に極めて珍しく、思春期の「第二次性徴」を控える年齢であることからも、今後の対応 が注目されそうだ。
 保護者や関係者によると、男児は一歳のころからスカートやぬいぐるみが大好きだった。母親は「幼い子の興味の範囲内」と思っていたが、五歳のとき、兄と同じ少年野球教室に入れられることをかたくなに拒絶。ほとんど食事を取らなくなる日が続いたという。
  このため、母親が自宅近くの病院に相談したところ、「男女と区別せず、子どもが望むように育ててあげては」とアドバイスされた。小学校入学を控えた昨年一 月、祖母が教育関係者に「女児で受け入れてもらえないか」と相談した。大阪の病院で専門的検査を行い、GIDとする診断書を学校に提出。教育委員会や学校 側と面談した結果、女児としての異例の受け入れが認められた。
 男児の名前は、どちらの性でも通用するもので、入学後は出席簿のほか、トイレや身体測定も女児扱い。水泳には女児の水着で参加し、他学年と一緒になる夏休みのプールは自粛した。今年四月、進級してクラスメートや担任が替わったが、特に混乱は起きていないという。
  教育委員会は「医師が『本人が生活しやすいようにしていくことが基本』としたことが決め手となった」と説明。「もし今後、体の性に戻ることがあったとして も対応できるよう態勢を整えたい」「医師の意見に耳を傾けながら、子どもの成長を温かく見守っていきたい」と話している。
 男女ごとの特徴が顕著になる第二次性徴を迎えたとき、体が男性化していく男児を「同級生やその親がどこまで理解できるかが課題」と専門家は言う。
 母親は「できれば普通の女の子として接してほしい」と話している。
(霍見真一郎)
性同一性障害 生物学的には完全に正常であり、しかも自分の肉体がどちらの性に所属しているかをはっきり認知していながら、その反面で、人格的には自分が 別の性に属していると確信している状態、とされる。国際的な診断基準があり、日本精神神経学会が作ったガイドラインに従い、ホルモン療法(18歳以上)や 性別適合手術(20歳以上)などの治療法がある。男性の3万人に1人、女性の10万人に1人に発現すると推測されている。2003年には特例法が成立。一 定の条件の下、成人した性同一性障害者が戸籍の性別を変更することが可能になった。
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000033164.shtml
「心の性」優先 教員ら対応手探り

2006/05/18

  「女児で受け入れてもらえると聞いて、本人は涙を流して喜びました。興奮して眠れなかったぐらいでした」。性同一性障害GID)と診断され、「女児」と して播磨地域の小学校に通う男児(7つ)の母親は、そう打ち明けた。GIDの子どもが不登校自傷行為などに追い込まれる現状もある中、今回の学校側の受 け入れについて、専門家からは「画期的判断」と評価する声も出ている。一方で、水泳の授業や性教育など、教員らは手探りで対応に当たっている。
 「男の子のする野球はしたくない」
 男児は五歳のとき、兄と同じ少年野球教室に入ることを拒んだ。もっと幼いころから、おもちゃの好みなどは“女の子”だった。
 男性器が付いているから男の子だと母親は教えたが、「女の子なのになぜ付いているの」と泣いた。「(男性器は)いつ取れる?」と尋ねることも度重なった。
 相談に訪れた病院のアドバイスを参考に、中性的な格好で通っていた保育園に女児の服装で行かせた。形式上は男児扱いだったが、プールでもビキニを着た。野球の替わりにバレエ教室に通い始めた。
 「以来、表情が明るくなった」と母親。それだけに、「女児」としての通学が認められ、深く胸をなで下ろしたという。
   *   *
  岡山大学医学部の中塚幹也教授らがGID患者三百二十九人を調べたところ、小学校低学年までに性別の違和感を覚えた人は、二百四人(62%)。不登校の経 験は、九十六人と29%を占めた。千葉県の「あべメンタルクリニック」の阿部輝夫院長が、未成年のGID患者百十二人を対象とした調査では、八人(7%) がリストカットなどの自傷行為をしていた。
 今回の男児の場合、別の児童から「保育園では男子トイレに行っていた」と言われるなど、教室では難しい場面も生じている。性教育や、男児が女児用水着を着る水泳の授業など、今後の課題も見えてきた。
 自らもGIDである東京都世田谷区議の上川あやさん(38)は「子どもが体とは別の性だと主張しても周囲が相手にしないケースも多く、自分が自分でいていいという自己肯定感を子どもが持ちにくい」と指摘。偏見を持たず、周囲がサポートする必要性を訴えている。
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000033171.shtml
難しい子どもの診断

2006/05/18

 GIDの原因は、いまだ明らかになっていない。子どもの場合は、人格が確立していないこともあり、診断は難しいといわれる。
 GIDは、世界保健機関(WHO)などが診断基準を設ける疾患で、日本精神神経学会は、医療対象として位置付けている。
 原因については、心理的、社会的要因や、母体内でのホルモンの影響など、さまざまな仮説があるが、専門家の多くは「脳に何らかの要因がある」とみている。
 正確な国内の患者データはないが、GID学会理事で精神科医の針間克己さん=東京都=が全国の主要医療機関に聞き取り調査したところ、受診者は、約四千人とみられるという。
  女児として学校に受け入れられた播磨地域の男児に関し、これまで約八百人のGID患者を診察してきた埼玉医科大学かわごえクリニックの塚田攻医師は、「性 別が分かるようになった幼少期から体と反対の性を望み、今もその性自認が続いているなら、GIDでほぼ間違いない」とみる。
 針間医師は「男児として無理に通学させると心理的にマイナス要因となる」としながらも、「成人したときに体の性に戻っている可能性もある」と指摘。「どちらに傾いても良いよう周囲が対応することが大切」と話している。



http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060518-00000075-kyodo-soci
小2男児が女児として通学 性同一性障害と診断

 兵庫県在住の小学2年の男児(7つ)が、心の性と体の性が一致しない性同一性障害と診断され、小学校が男児を入学時から女児として受け入れ、通常の学校生活を送っていることが18日、地元の教育委員会の話で分かった。
 専門家によると、第2次性徴を迎える前の小学校低学年の児童が、性同一性障害と診断されるケースはまれで、小学校が性同一性障害と診断を受けた児童の「心の性」を受け入れるのも極めて異例という。
 教育委員会によると、男児は小学校入学前からスカートやぬいぐるみが好きで、心の性と体の性の不一致を保護者に訴えていた。
 小学校入学を控えた昨年1月、男児の保護者が「女児として受け入れてもらえないか」と知人に相談し、大阪府の病院で検査を受け、性同一性障害と診断された。
共同通信) - 5月18日12時3分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060518-00000045-mai-soci


性同一性障害>小2「女児」として通学 兵庫

 兵庫県内で暮らす小学校2年生の男児(7)が、心と体の性が一致しない「性同一性障害」(GID)と診断され、昨年の入学時から女児として通学している ことが18日、分かった。地元の教育委員会が保護者側の意向を受け入れ、女児として学校生活を送っている。04年7月施行の特例法で、成人した性同一性障 害者が戸籍の性別を変更することが可能になったが、低学年の児童が公的な場で障害を認められる例は全国的に珍しい。
 会見した教育委員会によると、男児は幼少期からスカートやぬいぐるみが好きという兆候が見られた。5歳の時、保護者が兄と同じ少年野球教室に入れようとしたところ、嫌がって食事をとらない日が続いたという。
 母親が近くの病院に相談したところ、「男女を区別せず、本人が望むようにさせてみては」とアドバイスされたため、通っていた保育園に女児の服装で通わせ、プールでもビキニタイプの水着を着せると元気を取り戻したという。
 小学校に女児として受け入れてもらおうと、大阪の病院で専門的な検査を行い、GIDの診断書を得て学校に提出。教委、学校関係者と2度面談した後、女児としての受け入れが決まった。入学後、出席簿は女児の欄に入れられ、トイレや身体測定も女児として過ごしている。
 教委によると、入学させる際、教職員全員には説明したが、文部科学省、県教委には報告しておらず、PTAにも説明していないため、実際の性に気付いていないクラスメートが多いのではないかという。
 教委は「今後、体の性に戻ることがあったとしても、対応出来るよう態勢を整えたい」としている。
 性同一性障害学会理事長の大島俊之・神戸学院大学法科大学院教授は「学会で大学生や高校生の事例の報告はあったが、小学生のケースが公になったのは初め てではないか。体の性別よりも、心の性別に応じた今回の方針は良い対応だと思う。さらに体の男性化が進む小学校高学年になるまでに、周りの児童の理解力に 応じた説明をすることも今後の課題だ」と話している。
毎日新聞) - 5月18日12時9分更新

http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060518/mng_____sya_____005.shtml
東京新聞
性同一性障害男児『女児』で受け入れ
医師の診断を重視
 兵庫県内で小学校二年の男児(7つ)が、心と体の性が一致しない「性同一性障害GID)」と診断され、女児として学 校生活を送っていることが分かった。GID学会(神戸市、理事長=大島俊之・神戸学院大学法科大学院教授)によると、低学年の児童がこうした形で受け入れ られるのは全国的に極めて珍しい。 
 保護者や関係者によると、男児は一歳のころからスカートやぬいぐるみが大好きだった。母親は「幼い子の興味の範囲内」と思っていたが、五歳のとき、兄と同じ少年野球教室に入れられることをかたくなに拒絶。ほとんど食事をとらなくなる日が続いたという。
 このため、母親が自宅近くの病院に相談したところ「男女と区別せず、子どもが望むように育ててあげては」とアドバイス された。小学校入学を控えた昨年一月、祖母が教育関係者に「女児で受け入れてもらえないか」と相談。大阪の病院で専門的検査を行い、GIDとする診断書を 学校に提出した。教育委員会や学校側と面談した結果、女児としての異例の受け入れが認められた。
 男児の名はどちらの性でも通用するもので、入学後は出席簿のほか、トイレや身体測定も女児扱い。水泳の授業には女児の水着で参加している。
 教育委員会は「医師が『本人が生活しやすいようにしていくことが基本』としたことが決め手となった」と説明。母親は「できれば普通の女の子として接してほしい」と話している。
 性同一性障害 生物学的には完全に正常であり、しかも自分の肉体がどちらの性に所属しているかをはっきり認知していな がら、その半面で、人格的には自分が別の性に属していると確信している状態、とされる。国際的な診断基準があり、日本精神神経学会が作ったガイドラインに 従い、ホルモン療法(18歳以上)や性別適合手術(20歳以上)などの治療法がある。男性の3万人に1人、女性の10万人に1人に発現すると推測されてい る。2003年には特例法が成立。一定の条件の下、成人した性同一性障害者が戸籍の性別を変更することが可能になった。