性同一性障害の苦痛は変化に対してである2

「人文系新刊情報サイト」なるページの「今月のちょっと気になる本・注目したい本」に、
「私(わたし)たちの仲間 結合双生児と多様な身体の未来」が選ばれていた。
すばらしい。

それはさておき。
昨日の続き。

昨日は性同一性障害では、心と体の性別の不一致そのものより、不一致へと変化していくことにより苦悩の原因があるのではと書いた。
その例として、第二次性徴を挙げた。

あとの個人的変化としては、「2004年11月17日 (水) 中年になるとFTMは治癒する?」 の時にも書いたが。
・ 社会的役割変化
・ 加齢
がある。

FTMに関しては、11月17日と重複するので、省略する。

MTFの受診年齢が幅広いのもこの変化要因が考えると分かりやすい。

10代後半は、思春期変化。
20代は社会的性役割の変化。
社会的性役割としては、結婚したり、職業地位が高まると、ますます男らしさを求められることが多いので、年齢が高まるにつれ、さらに強まる。

あと、MTFでは、加齢要因が大きい。
FTMでは、加齢で「女が終わる」が、男性ではそうならない。
たとえば、思春期における性別違和を女装で何とかしのぐ人は多い。
で、しばらくはそれに慣れて、苦痛も弱まる。
しかし、加齢に伴い、女装してもきれいにはなれなくなると、しのぎも限界に達する。
老いへの変化は苦悩を強める。

つまり、「若さ」から「老い」という変化は、「女」から「男」へのベクトルと近似している。
だから、FTMでは加齢により苦痛が減弱するが、MTFでは苦痛は強まる。

これらのことにより、FTM受診者が10台20台中心なのに対し、MTF受診者の年齢層は幅広いのではないか。

明日が最終回。